てきとうI/O

インプットした作品について、自分なりにアウトプット。

Celeste【感想】

 二、三週間ほど前ですが、Celesteをクリアしましたので感想を。

 

Steamあたりでゲームを買ってる方やインディーズゲーム好きの方なら、一度はどこかで見かけたこともあるのではというくらいの知名度の本作。

僕もずっと名前は見かけるなくらいの気持ちでいたのですが、先日NintendoSwitchOnline加入者向けに「いっせいトライアル」が行われていました。

それ自体にはほぼほぼ興味がなかったのですが、いっせいトライアルを機に、折角なのでともう一回遊んでいる知り合いがおり、この人がそこまでするんなら間違いなく面白いだろうと購入に至ったわけです。

 

【概要】

ついに来たよ、マデリン。

深呼吸して。

何をそんなに、怖がっているの?

 ゲームを始めたプレイヤーに与えられる情報は、上記の台詞と、女の子(マデリン)が主人公であること、車で現在地まで来たこと、山を「のぼる」ことくらい。

何もわからないなりに道を進んでいくと、謎のおばあちゃんに出会います。

ま、一応忠告しとくけども、

セレステ山てのは摩訶不思議な場所でね…

…なんか、“視る”かもしれないよ。

アンタが見たくないもんをね。

意味深な言葉と高笑いを背に、セレステ山への挑戦が始まります。

 

操作はいたってシンプル。

上記のストーリーはゲームのプロローグ部分ですが、プロローグ部分でプレイヤーが可能な操作はすべて明かされます。

横方向の移動・ジャンプ・壁へのしがみつき・ダッシュの4種類。

これだけ見ると簡単そうに見えますが、このゲームがどういうゲームなのかということも、プロローグで同時に説明されています。

ふいに落ちてくる天井、プロローグなのに落ちたら死ぬ穴だらけなど…

いわゆる「死に覚えゲー」というやつです。

 

グラフィックはドットの2D。

ですが、キャラの動きやエフェクトが細かく作られており、見ていて飽きません。

動いているのを見て爽快な気持ちになれるのはアクションゲームにとってかなり大事な要素だと思っているので、嬉しいポイントでした。

 

【感想】

ここからネタバレお構いなしの感想です。

 

・プレイ面

2Dの死に覚えアクションゲーは過去に「N+」や「ミートボーイ」など通ってますが、比較して最も優れているなと感じた点は、プレイヤーへの優しさですね。

ほとんどのゲームに言えることですが、段階を踏んで難しくしていくように作られていますね。プレイヤーは上がった難易度に対抗すべく、操作を上達させたり戦略を練ったりし、壁を突破した時に快感を得るわけですが、本作は、その難易度の段階のつけ方が非常に上手いと感じました。

本作をプレイしていて、不自然にハードルが低いとか高いとかそういったことを感じるタイミングが無く、操作を覚えさせられているという感覚も無かったのは、色々と理由はありますが、主に「ストロベリー」の存在によるところが大きいと思います。

ストロベリー集めは、やってもやらなくてもいい挑戦要素で、集めたところで報酬などはありません。大抵は設置されている場所あたりの本来の攻略より難しい操作を要求されるため、本作の難易度の水準がこのストロベリー集めレベルだったら、おいおいそれはやりすぎだろうと感じる人が多いんじゃないかな。

なにはともあれ、正直なところ、本筋を通るだけならばこのゲームはめちゃくちゃに難しくはないんじゃないかと思います。しかし、そこを引き締めるのがストロベリー集めなわけです。難しいことに「自主的に」取り組むわけですから、そこに大きなストレスを抱えることはなく、達成や上達の気持ちよさを得ることができるシステムであり、やらなくても引け目を感じる必要はありません。もちろんやれるところだけやってもいい。ハードルを自分で調整可能にしたのがこのシステムと思っています。

 

他に、ゲームのテンポ感にも優しさを感じます。

死に覚えゲーであることを前提に考えると、どうしてもリトライ回数が増えるわけですが、そこの配慮もしっかりしてます。

デスした時の復活速度も早すぎず遅すぎずで一息付けますし、マップ切り替えのたび(ストロベリーはゲット確定時)にセーブされているため、失敗したら滅茶苦茶長いやり直しをさせられることもありません(追加ストーリーは知らん)。これは上手くいかないパターンだと悟ったらワンボタンでクイックリトライ(自滅)もありますし、とにかく試行回数を稼ぐことへのストレスを減らしにかかってます。

マップ切り替え自体も気持ちのリセットに繋がるため、短いスパンでマップ切り替えが発生しやすい作りなのも良いと感じました。

 また、決まった周期で動くタイプのギミックに関しては、最適な動きをとればタイミングを計らずとも通れるようになっていますし、基本的にダッシュで解決するため動きがキビキビしており爽快というのも大きいです。

 

どうしてもクリアできねーよって方にはアシストモードという機能があり、ゲームスピードの調整、ダッシュ回数増加、無敵モード、チャプタースキップなど、これまたハードルを自分で調整できるようになっています。

アシストモードにしたらいきなり最強!とかクリアしたことにはしといてやるけどあとは自分次第ねみたいな機能ではなく、自分でぎりぎりのラインを探る調整ができるのはなかなか類をみないかなと感じました。ああ優しい。

 

という具合に、とても優しいゲームです。易しくはないが。

久しぶりに2Dアクションにのめりこんだという感触を得られるくらいに良いゲームです。

ゲーマーならとりあえず触ってみて損はないと思います。

 

・ストーリー

登山の醍醐味は自分自身と向き合うことみたいな話をどこかで聞いたことがあります。

人間誰しもが人には見せない一面、自分でも認めたくない自分などを持っていると思いますが、セレステ山にはそういった一面を具現化する力が働いており、それの現れ方は人によって異なるものの、セレステ山を登るということは自分と向き合うこととイコールなわけですね。

マデリンの場合は、怪しげな異世界へ入り込んだり、もう一人の自分が現れて登山をやめさせようとしてきたりといったことが起こります。

共通しているのは自分が生み出したものによって歩みを引き留められていることであり、これらにどう向き合っていくのかという、割と重めなテーマなのですが、重くなりすぎないようなテキストやイラストなので安心感がありました。

ざっくりとした流れとしてはセレステ山を登る中で出会う、おばあちゃん、セオ、オオシロ、自分の分身との関わりの中で、はじめは目的すら定かではなかったマデリンがどういう人物なのかが少しずつ明かされていき、最後には自分自身を認め、セレステ山を登頂するという、シンプルながらも先の気になるストーリーなのですが、とにかく演出が上手く、引き込まれます。

ステージ構成がマデリンの心の動きをそのまま表している場面が多く、クリアするのに苦労することもあって、プレイ中はあまりキャラクターは喋らないにも関わらず、気づけば感情移入していたということもしばしば。

特に印象に残っているのはチャプター6。セオと語明かし、自らセルフィーを撮ろうと持ち掛けるシーン、山のふもとまで落下した先でおばあちゃんに諭されるシーンなど、いくらでもよかったシーンはありますが、自分の分身を追いかけるシーンはゲームならではでかなり良かったと感じています。深呼吸の羽もしかり、自分で操作できるからこその演出を積極的に使ってくるゲームでした。

最近はあまり自分との闘いみたいなお話を見かけなかったのもたまたまプラスだったのやもしれませんね。

登山とはいうものの、実際に山登りしてみると下り道があったりとかして登るばっかりじゃダメなんですよね。標高の高い山だと体を慣らすために登って降りてを繰り返して少しずつ登ったりとか。そういった面も反映してたりするのかなーとか思いました。

・音楽

一生聞けるタイプのピアノ曲メインテーマを筆頭に、メインテーマをステージに合わせてアレンジしていたりと筋が通っており、かつ盛り上げ上手な印象でした。

全体を通して、どこか切なげな表情を見せる曲が多く、チャプタークリアのジングルとかは毎回鳥肌立ってましたね。一方でチャプター7みたいに盛り上げるところはしっかり盛り上げてきて、メインテーマのアレンジでありながらも前向きさを主に感じる展開になってたりとか。

クリアするまで一生聴き続けることになるのがBGMなので、ストーリー展開を加味しつつの、味が濃すぎず薄すぎずの絶妙なラインを攻めてるはずです。

実際、BGMに対してこの曲もういいわというようなストレスを感じるシーンは無くて、でもパッと思い出せる曲は少ない……でも聴いたらこれこれ~~ってなるような、まさにBGMって感じのBGMたち。

褒めてるように見えませんが、めっちゃ褒めてます。

バックグラウンドの音楽とはかくあるべきみたな姿だと思います。

あんまり覚えてなくても、後で曲単体で聴いてみたらその時の情景が浮かぶみたいなね。

別に曲が目立ってたらダメとかいう思想はありませんし、目立つBGMはそれはそれで好きなんですが、本作に関して言えば、影の立役者、縁の下の力持ちって印象のBGMでした。

 

【まとめ】

めっちゃ面白い。

誰にでも薦めるかといわれると、難易度調整できるとはいえ、うーん……

アクション好きには是非やって欲しい。